「たま山歩/未踏の山道をもとめて~」
雪倉岳 追記
名の由来は 積雪期/雪の間に顔をのぞかせる岩を
地元猟師らが「倉」と呼んでいたことから
山頂から東に1.4km程の位置に銀鉱山跡があり
天保のころまで採掘が行われており
その作業道が登山道となっている
周辺は白馬岳連山高山植物帯となっている
白馬岳からの登山道は 小蓮華山へ分岐する三国境を経由し
鉢ヶ岳の東斜面を巻いて雪倉岳に至り 朝日岳へと続く
蓮華温泉から鉢ヶ岳の南側に至る鉱山道は
旧塩谷鉱山の名残であり
途中に鉱山事務所跡・塩谷精錬所跡などがある
長らく手入れされておらず ところどころに崩れた箇所がある
(9/15) 13:20 朝日平に到着
まだ雲は多いものの
空は完全に青が支配し風が心地いい
小屋前には白馬方面から来たと思われるひとたち
大きなパーティがひとつ
と 個人のかたたち
パーティからは解放感に満ちた黄色い声が飛んでいた
横をすり抜け朝日小屋に向かう
ご飯が美味しくもてなしに定評がある小屋だが
今回は泊まらない
テント場を使わせてもらうため受付を済ませねば
テント泊は基本予約は要らない
見たところまだ一張りもされていなかった
対応してくれてるのは小屋主人の「ゆかりさん」
渡された用紙に必要事項を書きこむ
渡すと当然くるべき質問
ゆ:どこから来られました?
T:蓮華温泉です
ゆ:明日はどういう経路で?
T:雪倉岳を通って周回する予定です
そういうと
ゆ:どこのルート?鉱山道?
T:!! えっと・・
思いがけない突っ込みに一瞬 “間” ができた
その “間” にさっと地図を広げるゆかりさん
ゆ:鉱山道も知らんのに歩くの?困るなー
T:えっ(たじたじ)
知らないわけない ただ迫力に圧倒されていた
平静を取り戻し鉱山道の外側の登山道を指さした
ゆ:今日は何時に(蓮華温泉を)でられた?
T:5時です
ゆ:(5時-13時)8時間か
このルートを行くなら7時間で着かんとね
そういうと鉛筆書きで
蓮華-朝日-三国峠を模した三角形を描き
ゆ:ね? 今日の2倍歩くよ
ダメ押しで
ゆ:白馬大池のあとも(樹林帯を)4時間歩くよ
と このルートがいかに過酷かを懇々と諭された
ゆ:蓮華温泉へ下りることを検討してみてください
2,500円(使用料)です
・・・・・全否定 言葉もなかった
何が間違っていたのだろう
もちろん小屋番としての忠告には違いないけど
簡単に決めたわけじゃない
この日のための想定山行もしてきた
それでも甘い選択だったのか
テント場へ向かう足取りは重かった
誰もいないだだっ広い敷地に最初のテントを張る
とてつもない孤独が押し寄せてきた
とにかく テントを張り
前朝日を見ながらコーヒーを飲んだ
さっきの忠告の検証を自分なりにしてみた
キャンプ場で道に迷ったこと
雨に降られたこと
木道のスリップを気にしながら歩いたこと
写真撮影が多いこと
などなどを考慮すると条件がよければ
時間短縮はもっとできたはず
条件って何だ?天気だ!明日は晴れる
決して無謀な計画ではないはず
少し気持ちが落ちついたところでテントから這い出す
施設チェック
<水場> ここから調達
水源は前朝日や朝日岳だと何かで読んだ
<トイレ>(ブースは二つ)
ペーパーは常設されておらず 必携
朝日岳 デカいなー♪
大らかな山容は 不変不動を感じさせる
何にも動じない だから惹かれるのか
見てたら ふと気づいた そうか
否定されることで “動揺した” 自分にモヤっていたんだ
叱ってくれる人もいない今日この頃w
考えてみるとじつにありがたい助言だったのだ
(ゆかりさん 感謝♪)
人は不動不変にはなれない
でも ブレた自分は人間らしいというか肯定できる
明日へ向けての “覚悟” が高まった!
さぁ 気持ちがクリアになったら淡々とこなす
16時 早めの夕餉
豚骨ラーメンと たんぱく源は竹輪4本
暗くなる前の散策
朝日神社にお参り
明日が最良の佳き日になりますように
前朝日方向の遊歩道から斜陽と雲海♪
戻ってくると雲が消え 雪倉/白馬がくっきり♪
17:40 テン場も最終的に4張りとなり
(交流はないけど)なんとなく安堵
シューズも靴下もレインウェアも乾いた
筋肉痛も足攣りもナシ
そういえば今日は芍薬甘草湯を一服もしてない!
これは嬉しいことだった
明日はマイナス因子なしでイケるはず
充電 ヘッデン アラーム 済
暗くなるのが早く
19時を待たずにシュラフに潜り込んだ
zzzzzzzz
2時40分 起床 外に出ると
下弦の月と星が瞬いていた♪(ミエンケド)
ちゃっちゃと支度を済ませ
3:10 スタート の前にコースを確認しとこ
今日は 18km余り歩く予定
登りが 1300m
下りが 2000m
時間 11時間でイケるか
懸念はゆかりさんも言ってた
ラスト5kmの下り
どんなトラップが待ってるのか
作戦(ってほどのこともないが)としては
暗闇とトラバースで早めに距離を回収する
先ずは最初のピーク(雪倉岳)を早めに踏む
とにかく時間を意識していこう
左上の赤丸が朝日小屋
→ 下の三国峠 で進路を変え
→ 白馬大池 を経て蓮華温泉(青丸)へ
きのう確認した三差路
まっすぐ行ったら朝日岳に行けてしまう
巻道(水平道)を行きます(右)
じつは計画段階で山友さんに相談したことがあって
この水平道 当然使う前提で話してたら
水平道(トラバース)ではあるけど曲者といわれ
何がどう嫌らしいのかそのときはわからず
なので
細心の注意を払って進むも
急勾配の沢を登らされ(気が付き即後退)たり
アップダウンに翻弄されたり
とにかく最初の20分はメチャ緊張しいの連続だった!
(なので写真撮る余裕もない)
もとより 時間を稼ぐなら視界が制限されてる方が
気が散らなくて済む
そんなんで サクサク歩く 歩く!
頼みの綱はヘッドライト
初めての実践 足元までよく見える
ときどき自分の前と後ろに誰かいないか探すけど💦
この世界に自分一人しかいないような感覚に捕らわれる
が だからこそ足を止めることは考えられず
何かに突かれるように前進していた
川の音 風の音 熊鈴の音だけが響く
びっくりしたのはこの反射!
笹の葉裏が金属のような光を返すこと
初めて知った!きれいだった♪
木道もたくさん歩いた
昨日のように滑ることはなかった
そして徐々に前方にシルエットが浮かんでくる
5:10 雪倉岳だ!
足元に赤っぽい石が敷き詰められている
左上を見上げると ゴツゴツしたピークが見える
これが 【赤男山】2194m
名の謂れはこの赤っぽい石のせいか?
なにせ 荒々しい
向かいの雪倉岳が優美に見える♪
登山道は赤男山を巻いて雪倉岳へ延びている
ガチャガチャ鳴る
石の感触を確かめつつ歩くのが愉しい♪
5:35 さぁ本格的な登り どこから行く⁈
5:50 日の出
焼山/火打山/妙高山のシルエット♪
ふりかえり
手前に今巻いてきた赤男岳 その後ろが朝日岳
右の稜線上の高まりは五輪山だそう(アプリ同定)
日の出直後ならではの空気感 いいわー♪
雪倉 まだ遠い 堪えつつ歩む
ふりかえり
【雪倉岳山頂】2,611m
7:25 着いた!誰もいない!w
りっぱな石碑
たまたま白馬岳方向から来たかたに
撮っていただきました♪
絵画と見まごうばかりの絶景!
正面が白馬岳(2,932m)手前に鉢ヶ岳(2,563m)
なんて柔らかな線描♪
はんれい岩でできた山頂部
東斜面(左)には昔
銀を採掘していた蓮華鉱山の鉱山跡がある
右奥に 剱岳も見える♪
正面奥は 字は違うけど「旭岳」2,867m
朝日町平野部(市街地)
朝日小屋で購入した笹寿司(鱒)
いい塩梅の酢飯が舌と胃にしみた♪
さて 次へ進もう!
写真を撮りっこした男性は
白馬山荘から雪倉岳のピークを踏むために来て
三国峠から小蓮華山へ下りるのだと云っていた
わたしと一緒だ ただこの人下りるの早い!
ふりかえり
あのひとここ登ってきたんだー💦
気持ちのいい稜線歩き
目の前の鉢ヶ岳へは行かず巻いていく
8:15 <雪倉岳避難小屋>
こんな感じの室内
トイレはあまりきれいではなかったな 一応拝借
今 目指しているのは 三国峠という分岐地点
YAMAPによると雪倉岳以上に上がる⤴ことになってる
赤線の左のピークが雪倉岳
今そこから大きく下った底にいる感じ💦
目の前の高い御山が白馬岳だから とにかく
あの辺りまでいくらしい
水平道から上を見ると
夏の(花の)にぎやかさが想像できる♪
氷河が削ったか こんな景観も好き
こんなふうに 大地に近い植物しか生きられないか
9:15 <鉱山道分岐>
左奥へ行けば蓮華温泉に行ける
鉱山跡なんてそそられるけど今日は右だ
まだまだ 上るぞ⤴
果てしない💦
この正面に見える稜線があとで歩く道だね
左の小高いのが小蓮華山かな
あと少し⁈
白馬岳へ行く人下りる人が見える
今回 余力があれば行ってみたかったけど
行かなくて正解 もう上りは遠慮したい
10:20 <三国峠> 着いた!
名の由来は 白馬岳が 富山/新潟/長野 の
三県の境に位置しているため
標柱を背に左を向けば
白馬岳への道
右を向けば
小蓮華山への道
そして正面は
朝から7時間/歩いてきた道が一望!
やっと2/3 まだ2/3 先は未だ長い
疲れたー(深呼吸)
なんでこんなにしんどい思いしてここにおる?
自分 痛めつけて何が愉しい?(自問自答)
知らんけどここに居るのは必然なんだな
決して 山狂いではない 山命でもない
でも 来なくちゃいけなかった
だから来た それだけ(笑)
さぁ新潟県最高峰のピークをめざすよー
きれいな稜線♪
稜線の途中から見下ろすとこれまた絶景!
スキー場や白馬の街が見えて ワクワク♪
ふりかえると 白馬三山がズラリ!
奥から <白馬槍ヶ岳-杓子岳-白馬岳>
長野県側って 確かに急峻で荒々しい
ここに雪が張り付いた景色も見てみたくなる♪
進行方向 灰色してたり紅かったり
なんといろんな顔(鉱物)を持つ山なのか
資源の塊のようなところなのかもね
登山道(稜線)もきれいに整地されてる
直射日光は避けようがなく・・
さっきから首の後ろがやけに暑いわ
あーいかん 雨でも晴れでも文句ゆーとる💦
そしてついに!
11:30 <小蓮華山>2,769m 到着
新潟県と長野県の県境にまたがる山
新潟県最高峰の山で 山頂には鉄剣と石仏があり
かつては信仰の対象となっていた
ということでこの鉄剣 👇
左右に突き出ている部分は
長野と新潟の方向(境界)を表しているとも
山頂で写真を撮ってくれたカップルと気が合い
また 3人組のお姉さまたちともトークが弾み
なんとなく 同じペースで歩くことに
雲が湧きだした こういうの大好き♪
白馬大池⁈
カップルの彼女が「雷鳥」を見たことがないという
昨日までの荒天なら見れたかなーと言ってたら
なんと!
ハイマツの中から現れ出でた!
それもファミリーで(写真は一羽だが)
よかったね また見れたらいいねって言ってたら
下から息きらして駆けあがってくる男性
私たちを見るなり “熊!” と叫ぶ!
“20mの距離に出た!あの岩の後ろに下りてった!”と
この突き出た岩 👇
固まるわたしたち “どーします?”
どーしますってったって下りるしかない
雷鳥に出会わなかったら
自分たちが遭遇してたかもしれない
見れば何も知らずに今まさに上がってくる人もいる
皆で歩けば怖くない!ってことで一斉にGO!
くまもんは現れなかった
方向が違う気がするが これもイケる?
天空へ延びる白き稜線は何を示すものぞ
ひとそれぞれ違うんだろうね
でも だから 皆が惹かれるのもわかる💓
その道の先にあったのがこれ
12:30 <船越ノ頭>2,612m
これ山の名前 謂れはわからんけど
この辺りの地質/地形の解説付きで歩きたい
北アルプス おもしろい!
眼下に白馬大池♪
13:10 <白馬大池> 着
天空の稜線を延々歩いて来たけどやっぱ遠いねー
小屋の前にテントが5張り(皆男性ソロ)
ここもいいかもー♪
来てみたかったのだ♪
若い女性スタッフさん とてもフレンドリー
ビールが飲みたかったけど・・ガマン💦
せっかくなので湖畔へ
水の透明度がハンパない!そして冷たい♪
紫外線を気にしなくていいなら一日中居たいわー
トイレはこちら ¥100/回 有料だけあってきれい
カップルのお二人はカレー(名物?)を食べに食堂へ
3人御姉さまたちは 栂池へ下りるということで
皆さんとお別れして
13:30 ひとり 蓮華温泉へのラストスパート
さて 朝日小屋の女将がいうところの
4時間かかるという登山道って⁈
こんなんだった💦 いびつな石だらけ
蓮華の森を歩いていたときのような柔らかさがない
これがずーっとつづく
ランダムに置かれた自然石のイケズなこと
疲れきった脚(足)には確かに要注意!
膝にこないように最初は穏やかに下りてたけど
気を使いすぎるのも疲れる
砂防新道(白山)がマシに思えてきた💦
距離5km 想定時間は2時間
16時までには着いて温泉入りたい!
人を動かすのは「欲」
温かい湯舟を想像すると集中力が増したw
足先の感覚を研ぎ澄ます
建設的なことは何も考えられない
ただ無心に下りる ひたすら下りる
14:35 半分は消化していることがわかりホッ♪
残りあと2km
20分後 残り1.4kmと書かれた看板を見た直後だった
後ろに人の気配/男性が下りてきた
白馬大池に居た人のような?
私を見るなり言った
“クマ!いましたよ!天狗ノ庭のあたりで!”
“えっ!”
天狗ノ庭をわたしは知らない
標識でもあるかと意識はしていたがわからなかった
男性とは10mほどの距離だったらしいが
向こうが離れていったと・・
見たかと聞かれたので見てないと云った
“(熊)鈴もってるし”
男性も持ってた それでも熊はでる
男性は私を追い越し先行した
これだ! ついていこう!
誰かに合わせるのは苦手だけど
こういうときはアリガタイ
ダレない秘訣
“硫黄の匂いがする”
と思ったら ここが
野天風呂「黄金湯」のあるところだった
白濁した水(湯?)が道の脇を流れていく
流れの上流に目をやると
20mほど先にTシャツ姿の男性が見えた
写真で見た北アルプス展望を一瞬想像し(想像だけ)
気を取り直し下山
15:20 蓮華温泉登山口 着
なんとか2日間を完歩!自分におつかれさま♪
車に戻り お風呂セットをもって蓮華温泉へ
¥1,000 払って入った浴場のお湯はかなり熱かった💦
湯の出もあまりよくなかったけど
秘境の温泉ってこんなもんでしょ
さっぱりしたら
スマホを早く通信圏内に置きたくて
アトレーを国道まで戻す
強炭酸が恋しくてコンビニを探すけどなし
糸魚川IC近くのローソンに飛び込み
ウィルキンソンとからあげクンREDと珈琲Mを購入
水分+タンパク質+覚醒飲料で
石川までの2時間を持たせる
20時/帰宅(ホッ♪)/ホントのおつかれさま
帰り着くまでが登山 終わって見れば
自身のポテンシャルと時間の調整に追われた
“修行” のような山歩だった
でも 今回はそれでいいと思ってる
楽しむ登山 突き詰める登山 学ぶ登山 いろいろ
次はもっと楽しめる山歩かな♪
今日の距離 18.8km
累積登り 1325m
累積下り 2006m
時間 12:12(休憩込)
◆二日間合計
距離 31.1km
累積登り 2775m
累積下り 2780m
時間 21:26(休憩込)
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