2025/09/21

TAMA-SANPO-90~「朝日岳-雪倉岳-小蓮華山-周回/後編」~2025.9.15-16

 たま山歩/未踏の山道をもとめて~」


雪倉岳 追記

名の由来は 積雪期/雪の間に顔をのぞかせる岩を
地元猟師らが「倉」と呼んでいたことから

山頂から東に1.4km程の位置に銀鉱山跡があり
天保のころまで採掘が行われており
その作業道が登山道となっている

周辺は白馬岳連山高山植物帯となっている

白馬岳からの登山道は 小蓮華山へ分岐する三国境を経由し
鉢ヶ岳の東斜面を巻いて雪倉岳に至り 朝日岳へと続く

蓮華温泉から鉢ヶ岳の南側に至る鉱山道は
旧塩谷鉱山の名残であり
途中に鉱山事務所跡・塩谷精錬所跡などがある

長らく手入れされておらず ところどころに崩れた箇所がある


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


(9/15)  13:20 朝日平に到着

まだ雲は多いものの
空は完全に青が支配し風が心地いい

小屋前には白馬方面から来たと思われるひとたち

大きなパーティがひとつ
と 個人のかたたち

パーティからは解放感に満ちた黄色い声が飛んでいた

横をすり抜け朝日小屋に向かう

ご飯が美味しくもてなしに定評がある小屋だが
今回は泊まらない

テント場を使わせてもらうため受付を済ませねば


テント泊は基本予約は要らない
見たところまだ一張りもされていなかった

対応してくれてるのは小屋主人の「ゆかりさん」

渡された用紙に必要事項を書きこむ

渡すと当然くるべき質問

ゆ:どこから来られました?

T:蓮華温泉です

ゆ:明日はどういう経路で?

T:雪倉岳を通って周回する予定です

そういうと

ゆ:どこのルート?鉱山道?

T:!! えっと・・

思いがけない突っ込みに一瞬 “間” ができた

その “間” にさっと地図を広げるゆかりさん

ゆ:鉱山道も知らんのに歩くの?困るなー

T:えっ(たじたじ)

知らないわけない ただ迫力に圧倒されていた

平静を取り戻し鉱山道の外側の登山道を指さした

ゆ:今日は何時に(蓮華温泉を)でられた?

T:5時です

ゆ:(5時-13時)8時間か

このルートを行くなら7時間で着かんとね

そういうと鉛筆書きで
蓮華-朝日-三国峠を模した三角形を描き

ゆ:ね? 今日の2倍歩くよ

ダメ押しで

ゆ:白馬大池のあとも(樹林帯を)4時間歩くよ

と このルートがいかに過酷かを懇々と諭された

ゆ:蓮華温泉へ下りることを検討してみてください
2,500円(使用料)です



・・・・・全否定 言葉もなかった

何が間違っていたのだろう
もちろん小屋番としての忠告には違いないけど

簡単に決めたわけじゃない
この日のための想定山行もしてきた

それでも甘い選択だったのか
テント場へ向かう足取りは重かった

誰もいないだだっ広い敷地に最初のテントを張る
とてつもない孤独が押し寄せてきた



とにかく テントを張り
前朝日を見ながらコーヒーを飲んだ

さっきの忠告の検証を自分なりにしてみた

キャンプ場で道に迷ったこと
雨に降られたこと
木道のスリップを気にしながら歩いたこと
写真撮影が多いこと

などなどを考慮すると条件がよければ
時間短縮はもっとできたはず

条件って何だ?天気だ!明日は晴れる
決して無謀な計画ではないはず

少し気持ちが落ちついたところでテントから這い出す

施設チェック



<水場> ここから調達
水源は前朝日や朝日岳だと何かで読んだ



<トイレ>(ブースは二つ)
ペーパーは常設されておらず 必携



朝日岳 デカいなー♪

大らかな山容は 不変不動を感じさせる
何にも動じない だから惹かれるのか

見てたら ふと気づいた そうか

否定されることで “動揺した” 自分にモヤっていたんだ

叱ってくれる人もいない今日この頃w

考えてみるとじつにありがたい助言だったのだ
(ゆかりさん 感謝♪)

人は不動不変にはなれない
でも ブレた自分は人間らしいというか肯定できる

明日へ向けての “覚悟” が高まった!



さぁ 気持ちがクリアになったら淡々とこなす

16時 早めの夕餉
豚骨ラーメンと たんぱく源は竹輪4本

暗くなる前の散策


朝日神社にお参り


明日が最良の佳き日になりますように


前朝日方向の遊歩道から斜陽と雲海♪


戻ってくると雲が消え 雪倉/白馬がくっきり♪


17:40 テン場も最終的に4張りとなり
(交流はないけど)なんとなく安堵


シューズも靴下もレインウェアも乾いた

筋肉痛も足攣りもナシ
そういえば今日は芍薬甘草湯を一服もしてない!

これは嬉しいことだった
明日はマイナス因子なしでイケるはず

充電 ヘッデン アラーム 済

暗くなるのが早く
19時を待たずにシュラフに潜り込んだ

zzzzzzzz




2時40分 起床 外に出ると


下弦の月と星が瞬いていた♪(ミエンケド)

ちゃっちゃと支度を済ませ

3:10 スタート の前にコースを確認しとこ

今日は 18km余り歩く予定
登りが 1300m
下りが 2000m
時間 11時間でイケるか

懸念はゆかりさんも言ってた
ラスト5kmの下り

どんなトラップが待ってるのか

作戦(ってほどのこともないが)としては

暗闇とトラバースで早めに距離を回収する
先ずは最初のピーク(雪倉岳)を早めに踏む

とにかく時間を意識していこう



左上の赤丸が朝日小屋
→ 下の三国峠 で進路を変え
→ 白馬大池 を経て蓮華温泉(青丸)へ



きのう確認した三差路
まっすぐ行ったら朝日岳に行けてしまう

巻道(水平道)を行きます(右)


じつは計画段階で山友さんに相談したことがあって
この水平道 当然使う前提で話してたら

水平道(トラバース)ではあるけど曲者といわれ
何がどう嫌らしいのかそのときはわからず

なので

細心の注意を払って進むも
急勾配の沢を登らされ(気が付き即後退)たり

アップダウンに翻弄されたり
とにかく最初の20分はメチャ緊張しいの連続だった!

(なので写真撮る余裕もない)



もとより 時間を稼ぐなら視界が制限されてる方が
気が散らなくて済む

そんなんで サクサク歩く 歩く!
頼みの綱はヘッドライト

初めての実践 足元までよく見える
ときどき自分の前と後ろに誰かいないか探すけど💦

この世界に自分一人しかいないような感覚に捕らわれる

が だからこそ足を止めることは考えられず
何かに突かれるように前進していた

川の音 風の音 熊鈴の音だけが響く



びっくりしたのはこの反射!

笹の葉裏が金属のような光を返すこと
初めて知った!きれいだった♪

木道もたくさん歩いた
昨日のように滑ることはなかった

そして徐々に前方にシルエットが浮かんでくる

 5:10 雪倉岳だ!




足元に赤っぽい石が敷き詰められている



左上を見上げると ゴツゴツしたピークが見える

これが 【赤男山】2194m

名の謂れはこの赤っぽい石のせいか?
なにせ 荒々しい



向かいの雪倉岳が優美に見える♪


登山道は赤男山を巻いて雪倉岳へ延びている

ガチャガチャ鳴る
石の感触を確かめつつ歩くのが愉しい♪



5:35 さぁ本格的な登り どこから行く⁈


5:50 日の出
焼山/火打山/妙高山のシルエット♪



ふりかえり

手前に今巻いてきた赤男岳 その後ろが朝日岳
右の稜線上の高まりは五輪山だそう(アプリ同定)



日の出直後ならではの空気感 いいわー♪


雪倉 まだ遠い 堪えつつ歩む



ふりかえり


【雪倉岳山頂】2,611

7:25 着いた!誰もいない!w



りっぱな石碑



たまたま白馬岳方向から来たかたに
撮っていただきました♪



絵画と見まごうばかりの絶景!
正面が白馬岳(2,932m)手前に鉢ヶ岳(2,563m)

なんて柔らかな線描♪



はんれい岩でできた山頂部

東斜面(左)には昔
を採掘していた蓮華鉱山の鉱山跡がある



右奥に 剱岳も見える♪
正面奥は 字は違うけど「旭岳」2,867m



朝日町平野部(市街地)


朝日小屋で購入した笹寿司(鱒)
いい塩梅の酢飯が舌と胃にしみた♪

さて 次へ進もう!


写真を撮りっこした男性は
白馬山荘から雪倉岳のピークを踏むために来て

三国峠から小蓮華山へ下りるのだと云っていた
わたしと一緒だ ただこの人下りるの早い!



ふりかえり
あのひとここ登ってきたんだー💦


気持ちのいい稜線歩き
目の前の鉢ヶ岳へは行かず巻いていく


8:15 <雪倉岳避難小屋>


こんな感じの室内
トイレはあまりきれいではなかったな 一応拝借



今 目指しているのは 三国峠という分岐地点
YAMAPによると雪倉岳以上に上がる⤴ことになってる



赤線の左のピークが雪倉岳
今そこから大きく下った底にいる感じ💦


目の前の高い御山が白馬岳だから とにかく
あの辺りまでいくらしい


水平道から上を見ると
夏の(花の)にぎやかさが想像できる♪


氷河が削ったか こんな景観も好き



こんなふうに 大地に近い植物しか生きられないか


9:15 <鉱山道分岐>

左奥へ行けば蓮華温泉に行ける
鉱山跡なんてそそられるけど今日は右だ

まだまだ 上るぞ⤴


果てしない💦


この正面に見える稜線があとで歩く道だね
左の小高いのが小蓮華山かな


あと少し⁈


白馬岳へ行く人下りる人が見える
今回 余力があれば行ってみたかったけど

行かなくて正解 もう上りは遠慮したい



 10:20 <三国峠> 着いた!

名の由来は 白馬岳が 富山/新潟/長野 の
三県の境に位置しているため


標柱を背に左を向けば


白馬岳への道

右を向けば


小蓮華山への道

そして正面は


朝から7時間/歩いてきた道が一望!

やっと2/3 まだ2/3 先は未だ長い

疲れたー(深呼吸)
なんでこんなにしんどい思いしてここにおる?

自分 痛めつけて何が愉しい?(自問自答)
知らんけどここに居るのは必然なんだな

決して 山狂いではない 山命でもない

でも 来なくちゃいけなかった
だから来た それだけ(笑)

さぁ新潟県最高峰のピークをめざすよー



きれいな稜線♪


稜線の途中から見下ろすとこれまた絶景!
スキー場や白馬の街が見えて ワクワク♪



ふりかえると 白馬三山がズラリ!
奥から <白馬槍ヶ岳-杓子岳-白馬岳>

長野県側って 確かに急峻で荒々しい
ここに雪が張り付いた景色も見てみたくなる♪



進行方向 灰色してたり紅かったり


なんといろんな顔(鉱物)を持つ山なのか


資源の塊のようなところなのかもね

登山道(稜線)もきれいに整地されてる

直射日光は避けようがなく・・
さっきから首の後ろがやけに暑いわ

あーいかん 雨でも晴れでも文句ゆーとる💦


そしてついに!



11:30 <小蓮華山>2,769m 到着

新潟県と長野県の県境にまたがる山
新潟県最高峰の山で 山頂には鉄剣と石仏があり
かつては信仰の対象となっていた

ということでこの鉄剣 👇



左右に突き出ている部分は
長野と新潟の方向(境界)を表しているとも



山頂で写真を撮ってくれたカップルと気が合い
また 3人組のお姉さまたちともトークが弾み

なんとなく 同じペースで歩くことに



雲が湧きだした こういうの大好き♪


白馬大池⁈

カップルの彼女が「雷鳥」を見たことがないという
昨日までの荒天なら見れたかなーと言ってたら



なんと!
ハイマツの中から現れ出でた!
それもファミリーで(写真は一羽だが)

よかったね また見れたらいいねって言ってたら

下から息きらして駆けあがってくる男性
私たちを見るなり “熊!” と叫ぶ!

“20mの距離に出た!あの岩の後ろに下りてった!”と

この突き出た岩 👇



固まるわたしたち “どーします?”

どーしますってったって下りるしかない

雷鳥に出会わなかったら
自分たちが遭遇してたかもしれない

見れば何も知らずに今まさに上がってくる人もいる

皆で歩けば怖くない!ってことで一斉にGO!

くまもんは現れなかった


そういえば NHKドラマ「坂の上の雲」の
エンディングで使われた稜線映像がこの辺りだとか
 


これ?


方向が違う気がするが これもイケる?

天空へ延びる白き稜線は何を示すものぞ
ひとそれぞれ違うんだろうね

でも だから 皆が惹かれるのもわかる💓

その道の先にあったのがこれ



12:30 <船越ノ頭>2,612m

これ山の名前 謂れはわからんけど
この辺りの地質/地形の解説付きで歩きたい

北アルプス おもしろい!

眼下に白馬大池♪



この池は火口湖ではなく堰止湖
川はなく 万年雪解け水と雨水でできてる



13:10 <白馬大池> 着

天空の稜線を延々歩いて来たけどやっぱ遠いねー

小屋の前にテントが5張り(皆男性ソロ)
ここもいいかもー♪



来てみたかったのだ♪
若い女性スタッフさん とてもフレンドリー

ビールが飲みたかったけど・・ガマン💦



せっかくなので湖畔へ


水の透明度がハンパない!そして冷たい♪
紫外線を気にしなくていいなら一日中居たいわー



トイレはこちら ¥100/回 有料だけあってきれい


カップルのお二人はカレー(名物?)を食べに食堂へ
3人御姉さまたちは 栂池へ下りるということで

皆さんとお別れして



13:30 ひとり 蓮華温泉へのラストスパート

さて 朝日小屋の女将がいうところの
4時間かかるという登山道って⁈



こんなんだった💦 いびつな石だらけ
蓮華の森を歩いていたときのような柔らかさがない

これがずーっとつづく
ランダムに置かれた自然石のイケズなこと

疲れきった脚(足)には確かに要注意!

膝にこないように最初は穏やかに下りてたけど
気を使いすぎるのも疲れる

砂防新道(白山)がマシに思えてきた💦

距離5km 想定時間は2時間
16時までには着いて温泉入りたい!



人を動かすのは「欲」
温かい湯舟を想像すると集中力が増したw

足先の感覚を研ぎ澄ます



建設的なことは何も考えられない
ただ無心に下りる ひたすら下りる



14:35 半分は消化していることがわかりホッ♪
残りあと2km

20分後 残り1.4kmと書かれた看板を見た直後だった

後ろに人の気配/男性が下りてきた
白馬大池に居た人のような?

私を見るなり言った

“クマ!いましたよ!天狗ノ庭のあたりで!”

“えっ!”

天狗ノ庭をわたしは知らない
標識でもあるかと意識はしていたがわからなかった

男性とは10mほどの距離だったらしいが
向こうが離れていったと・・

見たかと聞かれたので見てないと云った

“(熊)鈴もってるし”

男性も持ってた それでも熊はでる

男性は私を追い越し先行した

これだ! ついていこう!

誰かに合わせるのは苦手だけど
こういうときはアリガタイ

ダレない秘訣



“硫黄の匂いがする”

と思ったら ここが
野天風呂「黄金湯」のあるところだった

白濁した水(湯?)が道の脇を流れていく

流れの上流に目をやると
20mほど先にTシャツ姿の男性が見えた

写真で見た北アルプス展望を一瞬想像し(想像だけ)
気を取り直し下山



15:20 蓮華温泉登山口 着

なんとか2日間を完歩!自分におつかれさま♪

車に戻り お風呂セットをもって蓮華温泉へ
¥1,000 払って入った浴場のお湯はかなり熱かった💦

湯の出もあまりよくなかったけど
秘境の温泉ってこんなもんでしょ

さっぱりしたら
スマホを早く通信圏内に置きたくて

アトレーを国道まで戻す

強炭酸が恋しくてコンビニを探すけどなし
糸魚川IC近くのローソンに飛び込み

ウィルキンソンとからあげクンREDと珈琲Mを購入

水分+タンパク質+覚醒飲料で
石川までの2時間を持たせる

20時/帰宅(ホッ♪)/ホントのおつかれさま

帰り着くまでが登山 終わって見れば 

自身のポテンシャルと時間の調整に追われた
“修行” のような山歩だった

でも 今回はそれでいいと思ってる

楽しむ登山 突き詰める登山 学ぶ登山 いろいろ

次はもっと楽しめる山歩かな♪


今日の距離 18.8km
累積登り  1325m
累積下り  2006m
時間   12:12(休憩込)

◆二日間合計
距離    31.1km
累積登り  2775m
累積下り  2780m
時間  21:26(休憩込)



























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